ブルークラッシュ2

監督:マイク・エリオット
出演:サーシャ・ジャクソン、シャーニ・ヴィンソン他
2011年 アメリカ映画

“現代版 ガールズ・エンドレスサマー”
前作“ブルークラッシュ”ではハワイのローカルガールズサーファーライフを描いていたが、
今作の舞台はアフリカ。
亡くなった母の日記と写真を元に、母親を知る為にアフリカに渡った1人のサーフガール。
そこで多くの友人と出会い、“家族”とは何かを見つけ始める。
母親探しの旅は自分探しの旅となっていく。
サーフィンを通して出会った仲間や体験は「自分にとって本当に大切なもの」を気づかせてくれる旅となった。
ガールズサーファーの世界的ブランド“ROXY”が全面タイアップしていることもあってサーフギアが可愛い。
ツイギーやタジバロー、アンディアイアンなど世界クラスの現役男サーファーや
ROXYライダー、ローラエネバーなど女子の大物サーファーも出演。
吹替えは教えてしまうと、イメージしてしまう人がいると思うのでここでは明記しないが、
この2人も大物サーファー。
こんなサーファー達が3ヶ月も作品に協力したということだから、サーフ業界の熱の入れ方も分かる。
1ヶ月近くサーフィンやスイムなどの練習をして作品に入っていった2人の主人公の女優。
テイクオフとか寄りのカットを本人がやっているだけあって、日本のサーフ映画みたいにチープになっていない。
(真木蔵人などが出演しているいくつかのサーフ映画は別だが…
)リアリティがあるからサーフライフを描いていても嘘は無いし、
彼女達の“旅”「オデッセー」がストレートに伝わってくる。
この作品はサーフィンをやった事が無い人にも是非見てもらいたい1本です。



Soul Surfer

監督:ショーン・マクナマラ
出演:アンナソフィア・ロブ、デニス・クエイド、ヘレン・ハント他
2011年 アメリカ映画

“夢を止めない方法”
片腕の人気女性プロサーファー“ベサニー・ハミルトン”の実話を元に制作された“Soul Surfer”
彼女のドキュメンタリーというか、サーフドキュメントを何度も見たことがある。
独特なライディングと、満面の笑顔。
サメに片腕を食いちぎられ、その後、大会に勝ち、プロサーファーになったことは以前から知っていた。
きっと大変だったんだろうなぁ…とは思っていたが、
この作品で当時の彼女や家族、仲間の気持ちを知ることが出来て、よりベサニーのことが好きになった。
子供の頃から優秀なサーファーで“リップカール”との契約が決まる。
この契約は、サッカーで“adidas”や“Nike”との契約するくらい凄いことである。
サーフィンでは“リップカール”“Red Bull”“OAKLEY”などのメーカーと契約することは、
世界につながる第1歩なのだ。
そんな“夢”が少し見え、練習している時、サメに片腕を奪われる。
サーフィンはバランススポーツ。片方の腕が無いとバランスは崩すし、両腕でパドル出来ないし、
波をくぐって沖に出るのも、ボードを両手でしっかり持てないので困難である。
片腕を失ってサーフィンを続ける彼女に興味本位で集まってくるマスコミ。
今まで簡単だったことも出来なくなってしまい、不安も大きくなる。
なぜ自分だけ、こんなに苦しまなくてはいけないんだろう?少女の不安は最高峰に…。
友達、家族そして経験の中で彼女は心がどんどん強くなり、“サーフィンを楽しむ”ことを体で感じていく。
この作品を見て、彼女のドキュメンタリー作品やサーフクリップを見ると
“あの笑顔”の価値がより大きくなっていくだろう。
夢を止めることは簡単だが、人生は止められない。
人生を進める為には夢を持たなくてはならない。
今壁にぶつかっている人は、この作品から勇気をもらって下さい。



あの夏、いちばん静かな海。

監督:北野武
出演:真木蔵人、大島弘子、河原さぶ他
1991年 日本映画

“波の音は聞こえなくても…”
北野武監督、真木蔵人主演のサーフィン映画“あの夏、いちばん静かな海。”
1991年、湘南でごみ収集で働く1人の耳の聞こえない青年。
仕事中に見つけた捨てられていた1本の折れたサーフボードとの出会いが彼の人生を変える。
自分で板を直し、海に出る。
サーフィンという自分の楽しみや目標が生まれたことで、色々な人と出会い、生活が広がっていく。
彼女も耳が聞こえない障害を持っているカップル。
いつも2人だけだった空間が、地元のサーファーなどと一緒にいる時間が増えていく。
2人の目線(聴線?)で描かれている時は、周りの自然音が無く、久石譲の音楽だけが聞こえてくる。
台詞も少ないので、画面をしっかり見ていないとストーリーが分からなくなる。
主人公の2人が台詞1つ無いので、表情を見ていないと気持ちも伝わってこない。
僕的には、説明台詞と派手なCGで見せられるものよりも、はるかに映画的だと思う。
90年代前半のサーフシーンが思い返せるのも楽しい。
あの頃の大会の様子や派手なウエット、当時のプロサーファーもいっぱい出てくるので、
ある世代から上は懐かしさも加えられて楽しめる作品です。
さらに、真木蔵人が今やサーファーとしても有名になっているように、吹替えも無いので、
リアルに感じ、違和感なく見ることが出来ます。
僕も障害者がスポーツ教室に参加してきた時、少しとまどったことがあります。
しかし、一緒にやっていると、言葉が少なくても“1つのスポーツ”が共通点となり、
楽しく時間が過ごせることを知りました。
もちろん、教えること1つとっても大変なこともありますが、それを超えた時の楽しさは何倍にもなります。
“障害者とスポーツ”そんな課題を考える為にも見て欲しい作品です。



バッシュメント

監督:布川敏和
出演:土屋アンナ、要潤、中山エミリ他
2005年 日本映画

“すれ違いと兄妹の絆”
あのシブがき隊のフッ君こと布川敏和がメガホンをとり、横浜を舞台に
サーファーの土屋アンナが演じる妹と要潤演じる兄の
悲しい過去をひきづる2人の青春グラフィティ“バッシュメント”
2人をつないでいるのは血と幼い頃サーフィンでドロップした妹を助けに行った兄の姿。
子供のくせに兄は、サーフィンは自分に勝ち、勇気を持ってBIG WAVEにトライすることを教えていた。
妹は人生をサーフィンと同じよう、いつか来るBIG WAVEの為、強く生きている。
設定や考え方としてサーフィンは使われているが、全体としてはギャングアクション映画である。
僕はストーリーの中にX系スポーツが道具のように使われることが好きである。
サーフィン映画といってライディングだけを見せるのではなく、
作り物かもしれないがライフスタイルを提案していることは素晴らしいと思う。
特にX系スポーツは大会だけでなくライフスタイルやカルチャーを見せるスポーツでもある。
ワクワク感やドキドキ感を与えたり、カルチャーとして格好よいものでなくては、ここまで広がらなかったと思う。
ライディングはその人の性格や生き様を映す鏡である。
だからこそ自分の生き方に誇りを持ち、信念のあるライダーが強いのである。
この作品は、すれ違いがあり、引き離された兄妹のサーファーを描いている。
家族がいなくてもサーフィン仲間と共に強く楽しく生きようという妹の姿が、彼女のライディングそのものなのだ。
残念なのはそのライディングスタイルが表現できてなかったことなのだが…面白くあっという間に見られる作品でした。



ONE CALIFORNIA DAY

監督:マーク・ジェレミアス、ジェイソン・バッファ
出演:ジョエル・チューダー、クリス・マロイ、アレックス・ノスト、ジョー・カレン、タイラー・ウォレン 他
2007年 アメリカ映画

“サーフィンの伝統と未来”
数人のカリフォルニアのサーファーやシェイパー達の生活とサーフィンへの考え方をショートフィルムにし、
それをまとめた作品“ONE CALIFORNIA DAY”
コンペティションのサーフスターでなく、生活の中にサーフィンを取り入れている
伝説のサーファー達を取り上げているところが、他のサーフムービーと大きく違うところだ。
サーフィンの“魂”を伝えようとしているところなど、現代の“エンドレスサマー”だ。
波を分かち合う精神や先人達のサーフの考え方など、サーフィンの魂を記録しているドキュメンタリーである。
様々なカリフォルニアの朝を早回ししているシーンから作品はスタートする。
プロだけが道でなく、精神をサーフィンに求めるサンディエゴのジョエル・チューダー。
ロング、ショートだけでなくスタンダップパドルまでこなし、波との一体化を求めている。
ホットロッドとサーフィンを愛するサウスベイのタイラーは、サーフの歴史を常に尊重している。
シークレットスポットやサーフトリップで自分達の聖地を追い求めるカウボーイのクリス・マロイ。
オレンジカウンティで独自のスタイルを追求するアレックス・ノストやタイラー・ウォレン。
それぞれサーフィンとの関わり方は違うが、生活の一部として取り入れている。
サーフィンは生き方であり、人生を学ぶ場所なのだ。
特に面白かったのは、サーフィンの大会王者トム・カレンの弟“ジョー・カレン”をフューチャーしていること。
普通ならトム・カレンをフューチャーするのだろうが、
その近くでサーフィンを愛し、生きている男を取り上げることは、
サーフィンを勝負の場では無いとする制作者側の強い意志が伺える。
波と一体化する楽しさや気持ち良さは多くの偉大な先輩達に支えられている。
その大切さを思い出すきっかけを作ってくれる心に響くサーフムービーである。


 

Life 天国で君に逢えたら

監督:新城毅彦
出演:大沢たかお、伊東美咲、真矢みき 他
2007年 日本映画

“ウインドサーファーの生き様”
病気で短命だったが、ウインドサーファーなら誰もが知っている飯島夏樹の人生を描いた
“Life 天国で君に逢えたら”。
世界のすべてのプロスポーツ選手で最も多くのワールドタイトルを持っているのは、
ビヨン・ダンカーベックというウインドサーファーである。
ビヨンが来日した時、インタビューも含め、色々と話す機会があった。
ビヨンはとにかくすごい筋肉でパーフェクトボディを持つ40歳だった。
風・波・自分の肉体と、様々な力でスピードやトリックを競うスポーツなので、心技体、すべてが必要である。
彼にチャンピオンの条件を聞いたところ、“ウインドサーフィンを楽しみ、大会を好きになり、家族を愛すること。
このバランスを常に保つこと”と言っていた。
この作品“Life 天国で君に逢えたら”は、ビヨンが言っていたチャンピオンの条件をすべて持っている。
世界中の海を周り、ウインドサーフィンを愛し、大会のため練習を続け、妻と4人の子供を大切にし、
人生をまっとうした。
ガンを宣告された時、すべてを嫌い、バランスも崩れたが、自分の人生を綴ることで、
再び“最期の人生”を楽しんで生きることが出来た。
この生き方はウインドサーファーだけでなく、多くの人に生きる勇気を与えた。
“スポーツ人は常に尊敬されたり、人に勇気や夢を与える人であってほしい”
これは僕が本当のトップ選手に常に望んでいることである。
もちろん、スランプもあるし、病気やけが、引退などもあるだろうと思うが、
極限を求め挑戦し続ける姿を見せる職業のさだめだと思う。
この作品は冒頭のシーンやサーフシーンが本当にリアルで、しかもこのアングルで見られるなんて…というカットがたくさんある。
飯島選手のストーリーを映画化するということで、ウインドサーフィン界全体がこの作品を支えている。
岩崎真を始め脇元、釜口などのウインドサーファー、海外ライダーも多数出演。
マニューバラインを始めメーカーも協力。亡くなった後、こんな形で、また、ウインドサーフィンの頂点に立った飯島選手。
多くの人に愛され、多くの風や波と一体化し、多くのタイトルを掴んだ男。
ウインドサーファーという生き方を教えてくれる1本です。



イン・ゴッズ・ハンズ

監督:ザルマン・キング
出演:マット・ジョージ、シェーン・ドリアン、マシュー・スティーヴン・リュー 他
1997年 アメリカ映画

“サーフトリップの真髄”
コンペティターという大会で名を挙げる人と、自分のスタイルを追求しライディングするサーフトリップを主としている人達。
サーフィンのトップの世界は大きく分けるとこの2つに分けられるが、
この作品“イン・ゴッズ・ハンズ”はサーフトリップする男達をストーリー化し、創り上げられた作品である。
「波はどこからやってくるのか?」「完璧な波はいつどこに来るのか?」サーフトリップの真髄とも言えるテーマの中、
世界中を巡る世代の違う3人のサーファー達。
ジェットスキーでビックウェイブに乗ることは“リアル”か“リアルでない”かなど“波とサーフ”という考え方、
スタイルの問題提起や、サーフトリップしている人達も練習をし、
その頂点として自分のスタイルを打ち出すライディングを目指している様子などを描いている。
大会に出ている人がアスリート、サーフトリップの人はカルチャーと分けがちであるが、
両者共に、両方を持っていることを描いた“サーフマインド”が伝わってくる。
恋があったり、大きな美しい波のライディング、船の上に作ったランプでのスケートシーン、
トラブルに巻き込まれてのアクション…と色々なストーリーが次から次へと押し寄せてくるスピード感あふれる作品である。
サーフトリップしている人は“自分自身”との戦いをしている感じが手に取るように分かる1本。
サーフトリップに興味がある人には是非見てもらいたい作品です。



エンドレス・サマー

監督:ブルース・ブラウン
出演:マイク・ハンソン、ロバート・オーガスト
1964年 アメリカ映画

“僕の今を作ってくれた映画”
僕が初めて見たエクストリームムービーが“エンドレス・サマー”だった。
オレンジ色がスクリーンいっぱいに広がり、サーフィンというものを初めて見た。
2人の若者が“終わらない夏”を求め、南半球をサーフトリップするというものだった。
それまで映画はストーリーものしか見たことが無かった僕にとって、この筋書きの無いストーリーは新鮮だった。
しかも、音楽と1人のナレーションで全編進んでいく。
ナレーターはこの作品の監督“ブルース・ブラウン”。
カメラ・ナレーション・監督を1人でやっていることにも驚いた。
僕がスポーツを撮るスタイルは、この“ファーストインパクト”から始まったと言っても過言では無い。
ブルース・ブラウンの息子デイナ・ブラウンも映画監督で、“STEP INTO LIQUID”などのサーフ映画や
“Dust To Groly”というダートレースの映画を撮っている。
以前デイナに会った時、“映画だけでなくシーンを作る人”というイメージを受けた。
僕の人生に大きな影響を与えたことは間違いない。
ブルースのウィットに富んだ少し“小バカ”にしたナレーションは楽しくサーフカルチャーの魅力を僕に与えてくれた。
そして今、僕はサーフィンやエクストリームスポーツを撮り続けている。
映画という形にすることで、世界中の多くの人に魅力やカルチャーを与えることが出来る。
そう言い切れるのは、この映画“エンドレス・サマー”で僕の人生が変わったから。断言しても良いだろう。
“Xtreme Movie”は言葉が通じなくても、カルチャーが発信できることなのである。
久しぶりに“エンドレス・サマー”を見て、初心に戻れたような気がした。



ローカルボーイズ

監督:ロン・モラー
出演:エリック・クリスチャン・オルセン、マーク・ハーモン 他
2002年 アメリカ映画

“ニューシネマパラダイスのようなサーフムービー”
幼い弟とその兄。兄の3人の友人。カリフォルニアのサーフシーンから始まり、
美しいサーフカットの後は別のローカルの連中が出てきてサーフボードを盗み、女の子が登場。
ひょっとしてお約束のサーフ青春ものか?と、ちょっと興味が無くなりかけた時、
おじいさんの伝説のサーファーが登場。
父を事件で亡くして以来、幼い弟は何か追い詰められるとパニックになる病気を抱えてしまう。
兄は父の代わりになろうと弟を怒り、母を守るために必死だ。
伝説の初老サーファーに憧れた弟は、彼に本当のサーフィンを学び、友達になっていく。
サーフボードをもらい、毎日彼のもとに通い、本当のサーフィンにはまっていく感じは
“ニューシネマパラダイス”の映写室を思い起こさせる。
おじいさんは普段車の修理屋をやっているのだが、少年はそこに通いつめ、
修理を手伝ったり、サーフィンのことを教えてもらう。
一生友達だと約束したのに、おじいさんは海にも顔を出さなくなった。
少年は嫌われてしまったのでは…とまたパニックになる。
勇気をふりしぼりガレージに顔を出す。
おじいさんは妻と娘を交通事故で亡くした話を少年にする。
少年とおじいさんがサーフィンを通じて仲良くなっていくこの姿は
“スポーツ”“サーフィン”の魅力の1つであろう。
同じものを愛する者同士だから、世代を超えた友情が生まれ、先人に対して尊敬の念を抱く。
僕も世代の離れたライダー達と一緒に撮影をしていると、こんな気分になれる時が時々ある。
ニューシネマパラダイスのような温かい気持ちにさせてくれるサーフムービーです。



ブルークラッシュ

監督:ジョン・ストックウェル
出演:ケイト・ボスワース、ミシェル・ロドリゲス、サノー・レイク 他
2002年 アメリカ映画

“家族・友情をつなぐパイプライン”
女子の1人の天才サーファーをベースにハワイのサーフシーンを取り上げたガールズサーフ映画である。
若い頃、パイプに飲まれリーフで大怪我をしてパイプに対する恐怖心を持ってしまった天才女子サーファー。
母親が家を出て行ってしまい、ホテルのスタッフとなり、妹を1人で育てている。
そんな彼女をサーファー友達が支えている。
ビックゲームでプロになり、賞金を稼ぐことを考えているが、恐怖心に打ち勝たないと勝つことができない。
NFLの1人の男と出会い、恐怖に打ち勝つ心を与えてくれる。
この映画はサーフカルチャーをしっかり表現している。
ローカルの気持ち、スケーター的ナイトライフ、サーファーマインドなどをきっちり描いている。
バッファロースタイルという楽しくタンデムで乗るスタイルから、大会のコンペティションサーフシーンまで、
サーフィンの全てをシーンに散りばめている。
さらに“リアル”に見えるのは女子のトップライダーがスタントサーフィンをしていたり、出演していることだ。
サーフスタントとしては、2000年のワールドチャンピオンシップ3位の“ロシェール・バラード”、
2シーズンワールドタイトルで優勝の“メーガン・アブボ”、ASPのトップサーファー“ケイト・スカラット”、
2002年のビラボンプロで優勝した“ケアラ・ケネリー”。トップサーファーがリアルを作り出している。
サーフィンの素晴らしさは、すごい技や勇気のあるトライをすると、誰もが応援し、誰もが賞賛することだ。
同じことをやっている人間に対してのリスペクトは他のスポーツに比べて大きい。
家族・友情がその強さを作り、賞賛を受けることが出来る。
“ブルークラッシュ”はそんなサーフィンの魅力を、美しい映像と共にリアルに伝えるサーフムービーである。



BIG WEDNESDAY

監督:ジョン・ミリアス
出演:ジャン・マイケル・ヴィンセント、ウィリアム・カット、ゲイリー・ビジー 他
1978年 アメリカ映画

“サーフムービー 色あせない名作”
僕は10代の終わりにこの映画に衝撃を受けた。
サーフィンをやっている先輩がいつも“エンドレス・サマー”と“ビッグ・ウェンズデー”という映画のタイトルを
口にしていた。見ないと話についていけないと思ってこの2本を見た。
久々に“ビッグ・ウェンズデー”をDVDで借りてきて見た。
リマスターしてあって映像がきれいだったせいかもしれないが、
すごく鮮やかにあの頃に自分がトリップしているのが分かった。
カリフォルニアの海が美しく撮られ、ロングに乗って板の上でステップするあのスタイル、
角ばった“BIG WEDNESDAY”のあの文字。
“ジェリー・ロペス”のライディング映像を見たのも、このBIG WEDNESDAYだった。
ジェリー・ロペスだけでなくピーター・ハピルトン、ジャッキーなどその当時のライディングも楽しめる。
チューブの中のカメラ、空撮のライディングショット。
僕がサーフィンの大会の映像を撮りに行く時、潜在意識の中でついついイメージしているものが、
この作品の映像だ。
この映画を見て、サーファーははじけて楽しいものだと思わされた。
イケイケ乗りでビートルのオープンに板を突っ込んで、女の子と騒いで、バカやりまくって、喧嘩して、
でも友情は絶対的に大切な若者の楽しくて格好良い遊びのスタイルが、そこにはあった。
軍隊に入って友達を死で失うこと。大人になって離れ離れになること。
でも海を愛する友達だからこそ、また、大きな波があれば戻ってくること。
ただサーフィンが面白いだけのスポーツでなく、ライフスタイルに対する憧れを持たせてくれたのがこの作品だ。
いつかこんな作品を撮りたいと思い、XSportsにとりつかれていった。
僕にとってはXtreme Movieの原点的作品である。
久々に見て、色あせない名作だと思った。この作品に出会えて僕は良かったと思っている。



ブルー・ブルー・ブルー

監督:ダン・キャッスル
出演:ラクラン・ブキャナン、ハビエル・サミュエル、レシャード・ストリック 他
2008年 オーストラリア映画

“サーフィンがつむぐ兄弟愛、家族愛”
オーストラリアはサーフィンが文化であると感じさせる1本であった。
サーフィンの大会で優勝し兄を超え町を出たいと思っている17歳の若者と、友人、兄弟そして家族の物語が、
青い空と海の美しい映像と共に描かれている作品“ブルー・ブルー・ブルー”
サーフライドの映像の美しさだけでなく、表情やパドリングの時の様子までが丁寧に美しくフィルミングされているので、
よりストーリーと神秘的な感情まで伝えてくれる。
甘酸っぱい青春ストーリーと兄弟・家族愛を描いているが、サーフィンがしっかりと生活の中に入っている。
サーフスタントは“Parth Standlick”“Marc Adam”“Mitch Resevsky”“Jesse Adam”
海の怖さ、夜の海と光、映像美だけでなく心の動きがアップとルーズカットと水中(映像)で上手く表現されている。
特にこの映画は兄や姉の影響でサーフィンやスケートなどを始めた弟達に見てほしい。
弟は兄の姿を見て、そのスポーツに憧れたり、興味を持ちやがて夢を抱くようになる。
弟が上手くなっていくと兄はやがてアドバイザーになったり、注意をするようになる。
それは邪魔しているわけではなく、弟を大切に思っているからだ。
いつも一緒にいると兄弟や家族の愛情が見えなくなる時がある。
この作品は、そんな人達に、語らない愛情の強さを再確認させてくれる。
兄弟で同じスポーツをしている人達に是非見てもらいたいサーフムービーである。




STEP INTO LIQUID


監督:デイナ・ブラウン 
出演:レイアード・ハミルトン、ケリー・スレーター、ピーター・メル、ロシェル・バラード、
レイン・ビーチリー、
ジェリー・ロペス 他
2003年 アメリカ映画

“何故、サーフィンは愛されるのか?”
多くのサーファーに愛されているサーフィンのクラッシックスと呼ばれる映画“エンドレス・サマー”の
名匠ブルース・ブラウンの息子デイナ・ブラウンのサーフ映画が“STEP INTO LIQUID”

トップサーファーから始めたばかりのちびっこサーファーまでアマ・プロ問わず、
デイナは追いかけ、サーフィンの魅力を伝えてくれる。
タジ、ケリー・スレーター、ジェリー・ロペスなどトップライダーのライディングも見れるし、
何と66フィートもの波にも乗っている。
160キロの沖合いで見たことも無いような波に乗っているのだ。

宗教の違う子供達にサーフィンをさせ、仲良くさせたり、トウインというジェットスキーで引くスタイルや
フォイルボードというエアチェアの変形など、色々なサーフスタイルを見せてくれる。

場所も世界中で撮影。カリフォルニア、ハワイ、アイルランド、タヒチ、ベトナム、コスタリカ、
ウィスコンシン州のミシガン湖、イースター島など、本当に世界のあらゆる所で撮影。

ここで印象的なのは、サーファー達が皆笑顔であること。
心のまま自由に生きるサーフ精神。皆が自然と一体になる喜びを表現している。
そして、製作側の愛情も伝わってくる。サーファーとぎりぎりのところでの水中撮影、
白波に巻き込まれるかと思わせるような至近距離での空撮、フィルムの焼き付き部分まで使っている編集。
出演者、製作者共にサーフィンを愛していることが手に取るように分かる作品である。

では、何故、サーフィンは愛されるのか?
それは、毎日違う顔をした波に乗るからであろう。まったく同じ波はありえない。
だからこそ、最高の波を求め、常に新鮮な気持ちで向かい合えるのであろう。
そして、愛する者同士、気持ちを分かり合えるから。

いろいろなサーフィンに対する愛情がたっぷり詰まったこの作品で、サーフィンの魅力を感じて欲しい。