ワイルド・スピード MEGA MAX

監督:ジャスティン・リン
出演:ヴィン・ディーゼル、ポール・ウォーカー、ジョーダナ・ブリュースター他
2011年 アメリカ映画

“友情に生きる男達”
僕の好きなシリーズ作品の1つ「ワイルド・スピード」が完結してしまうとは少し悲しい感じもあるが、
ラストにふさわしい本当に熱い作品でした。
チューンナップカーが好きでアウトローな生き方の登場人物達。
個性が強く、何もまとまらないような感じだが、いざ何かやる時は友情という絆で固く結ばれる。
しかも、いつも笑いを絶やさず、人生を賭けている。
この笑いを絶やさず人生を賭けるという事は、見ていて実に爽快である。
人は何かをギリギリでやる時、必死な顔になってしまう。
しかし、ジョークを言い合い、リラックスしている彼らはとても「クール」に見える。
どんな時でも自分らしく、そして仲間を想うから出来るのだろう。
やっている事は正しい事とは言い難いが、それでも応援したくなるのは、そんなにおいが映像を通して伝わってくるからだろう。
車の描写については、もちろん言う事無しの作品。
本当にやれるのではないか?と思わせるリアルを追求したカーチェイス(このカーチェイスは今までに無い発想だと思う)、
車好きのスタッフだからこそ考え付いたド派手なカーチェイスだ。
ブルースブラザースのカーチェイスと1、2を争うワクワク感とスピード感。
カーチェイス好きなら、きっと納得の行く1本だろう。



グラン・プリ

監督:ジョン・フランケンハイマー
出演:ジェームズ・ガーナー、イヴ・モンタン、三船敏郎他
1966年 アメリカ映画

“F1という世界”
'60年代のF1の世界を描いた“グラン・プリ”
モータースポーツ界の頂点としてレーサー、メーカー、それらを取り巻く人々を
ゆったりと時間をかけ映し出している。
冒頭のモナコのレースシーンだけでも20分近くあり、分割映像やオンボードカメラ目線など、
当時では画期的な手法で表現していて、今のF1TV中継のルーツ的な部分がたくさんあります。
三船敏郎が架空の日本自動車メーカーの社長役で出演していて、
海外での日本のメーカーの見られ方ってこんな感じなんだなぁと思ってしまいました。
モーターレースの最高峰F1の迫力はもちろん、社交界や裏での競争の部分もしっかり描いています。
レーサーの考え方、メーカーの考え方、チームの考え方…、いろいろな思いが入り混じり、
事故や怪我と戦い、家族や妻そして愛人の助けを借りながら恐怖と向かい合ってレースに臨み、
その中の一握りの人間だけが栄光をつかむことが出来る。
特に印象に残ったのは、あるドライバーが「もう走りたくない」と自信を失った時、
愛人が「皆あなたの車に夢を乗せて一緒に走った気分になるのよ。私もその1人よ。」と言ったシーン。
多くの期待と注目、応援の力は決して失望させてはいけない。
大きなものを背負って戦うトップアスリートの気持ちが伝わってくる作品です。



タラデガ・ナイト オーバルの狼


監督:アダム・マッケイ
出演:ウィル・フェレル、サシャ・バロン・コーエン、ジョン・C・ライリー他
2006年 アメリカ映画

“アメリカンモータースポーツの裏側”
アメリカで人気のモータースポーツと言えば“NASCAR”と“ドラッグレース”。
アメリカではF1よりも人気がある“NASCAR”。
オーバルコースですべて見えてひたすら高速で走る感じがきっと好きなのだろう。
ESPN、FOX、ABCと全米の各局がこぞって放送し、アメリカでは最も人気のあるモータースポーツである。
そんなNASCARの世界を人気コメディ番組“サタデー・ナイト・ライブ”で有名なコメディアンウィル・フェレルが主演し、
ドライバーも数多く出演、NASCAR全面協力のもと描いた作品がこの“タラデガ・ナイト オーバルの狼”である。
エルビス・コステロやモス・デブなどのトップアーチストも出演していることでも、アメリカでの人気度が伺える。
主演のウィル・フェレルは“俺たちダンクシューター”や“俺たちフィギュアスケーター”など、
バカスポーツもので有名なコメディアン。
とにかくアメリカ的コメディスポーツ映画とは“コレだ”的作品になっています。
ウィル・フェレル演じるリッキーの頂点に行くまでの道程、事故を起こし人気が転落し、そして復活するという
アメリカンモータースポーツにアメリカンドリームがあるということをバカバカしい中にもハートフルに描いている。
アメリカ人はこのような作品を見て、モータースポーツに夢を感じるのでしょう。
映画が“夢”や“希望”を持たせてくれるメディアの1つであることを確信させてくれる作品でした。
“NASCAR”“アメリカンスポーツ”大好きな人達には是非見ていただきたい1本です。



ドリフトヒーロー

監督:小美野昌史
出演:佐藤博樹、神坂美羽、高山猛久他
2010年 日本映画

“日本の現実”
僕の好きな若手俳優高山猛久が出演しているということで見た作品“ドリフトヒーロー”
ストーリーとしては、高校生がドリフトに憧れ、免許を取り、すぐにドリフトにチャレンジして、
峠でトップドライバーに迫るまでを描いた作品なのだが、
この作品は、日本の若者の車離れをリアルに表現している。
主人公の同級生は全く車に興味が無く、車を単なる移動手段としてしか考えていない。
車を購入する気もないし、免許すら別に必要としていない。
電車で十分という今の若者をいたるところに織り込んでいる。
昔は高校在学中にも免許を取りに行く人も多かったし、安くてボロボロでもいいから車を買って改造する人も多かった。
日本のモーターカルチャーはこの先どうなるのだろうか?
サーキットやジムカーナ場、カーショーに行っても、20代30代は本当に少ない。
モーターファンの高齢化は確実に始まっている。
今、現状で若い人が出てきているモーターシーンと言えば、“痛車”ぐらいだろう。
アクティブに行動する人間の必需品だった車。
モータースポーツは1つの大人への階段だったはずなのに、今は完全に終わっている。
モータースポーツの若者離れの現実を突きつけた“ドリフトヒーロー”。
この作品を見て、少しでも車に興味を持つ若者が増えることを望みます。



トリプルX

監督:ロブ・コーエン
出演:ヴィン・ディーサル、サミュエル・L・ジャクソン他
2002年 アメリカ映画

“X系のエンターテイメント指針”
僕はこの作品を見た時、ものすごい衝撃を受けた。
フリースタイルモトクロス、スノーボード、スケートボード、スノーモービル、モータースポーツ的要素が
これほどまでにストーリーと絡み合って中心になっている映画を見たことが無かったからだ。
この作品をきっかけに海外のエクストリームがストーリーに入ってくる映画を探してみるようになったのだ。
もちろんサーフムービーとかモータースポーツ的映画は好きで見ていたが、
ここまでエクストリームスポーツを最大限に引き出している作品は無かった。
今回もどのジャンルで紹介していいか分からなかったが、
モトクロスのシーンが印象的なので、とりあえずモーターのジャンルにした。
これは全てのエクストリームスポーツの面白さを表現し、可能性を提示してくれた指針的な作品である。
僕も映画を創る人間として、日本の“トリプルX”を作りたいとずっと思っている。
エクストリームスポーツは単なる競技スポーツではなく、エンターテイメントとして、
言葉を使わず迫力や面白さを表現出来るものである。
その可能性を打ち出してくれた作品である。
かつてエンドレスサマーを見た時のようなインパクト。
きっと“スポーツ”が持つ表現の幅を広げてくれたからであろう。
過去の作品でスポーツの動きを映画のスタントとして取り入れたものは数多くあるが、
この作品はそのスポーツのカルチャーや背景までしっかり打ち出している。
本当にエクストリームスポーツの面白さを知っている人間が生み出した映画ということがすぐに伝わってくる。
X系スポーツのエンターテイメントの指針を打ち出した“トリプルX”一度は見ておくべき作品です。



スピード・レーサー

監督:アンディ・ウォシャウスキー、ラリー・ウォシャウスキー
出演:エミール・ハーシュ、クリスティナ・リッチ他
2008年 アメリカ映画

“親子鷹”
ある世代を超えると懐かしいアニメ“マッハGO!GO!GO!”
そのアニメの実写化リメイク版がこの“スピード・レーサー”である。
モータースポーツの興味を持つきっかけになった作品が“マッハGO!GO!GO!”という人も、
今の40代には多いと思われるが、
今の子供達にこの“スピード・レーサー”が同じ効果を与えてくれると大変うれしいものである。
個人で経営しているカービルダーの父を持つ幸せな家庭。
長男はレーサーになり、父の車に乗り、成功を収める。
しかし、大手車メーカーの引き抜きに最終的には従い、家を出て行く。
そしてレース中、事故で命を落とす。
そんな兄の姿を見て育った次男は、父の車にこだわりレースに出たことで、大手メーカーや有名チームに潰されそうになる。
しかし、仲間や家族の絆で、苦しみながらもレースに出て、
本当のレースとチームの絆を守り抜くという分かりやすい話なのだが、
この作品を通して一貫して流れているのが“家族愛”である。
子供は父の姿を見て憧れを持ち、人生を知り、自分もその道に進むものである。
日本では会社勤めの人が多く、働く父親の姿を見せる機会が少ない。
子供は父の仕事への憧れを持つチャンスがなかなか無い。
真剣な父の姿を見せることで、“親子鷹”は生まれるのである。
ただ子供がやっていることを怒ったりするのでなく、やっている姿を見せることこそ、次につながるのではないか?
家族の絆を深めたい家庭で、親子一緒に見て欲しい1本である。



キャノンボール2

監督:ハル・ニーダム
出演:バート・レイノルズ、ジェッキー・チェン、ディーン・マーチン 他
1983年 アメリカ映画

“車好きなら一度やってみたい事”
“キャノンボール”で公道レースというものを初めて知った人は当時多かったと思う。僕もその1人である。
楽しくてバカバカしくて痛快で自由で…
とにかく“キャノンボール”の世界はスーパーカー世代の子供達の憧れだった。
待ちに待った“キャノンボール2”は、前作で負けたアラブの王子がレースを主催し、
キャノンボーラー達が集まるところから始まる。
今改めて見ると、ガリ板刷りみたいなチラシで世界中からドライバーが集まってくるとか、
ランボルギーニカウンタックに白の塗料を塗って走り、水で落とすと真っ赤に戻るとか、
おかしいところがいっぱいあるが、子供の頃は違和感さえ感じていなかった。
ロス-ニューヨーク間を交通規制無視、誰が最速かを競うレースである。
あるチームは警官に扮したり、軍の上役に扮したり、あの手この手で切り抜けようとする感じも痛快である。
ジャッキー・チェンやサミー・デイビス Jr.、シャーリー・マクレーンの若い頃が見られるのも面白い。
ジャッキー・チェン参加の映画らしく、エンドロールにNG集が入っている。
車好きの仲間が集まり、車の番組の話になると、“キャノンボールやりたいな”という話になる。
もちろん無理なのだが(以前、某有名プロデューサーが特番として制作し、その後誰もやっていない)
車好きの心の中に生き続ける映画“キャノンボール”は、
永遠の娯楽車映画の定番としてずっと残っていくことであろう。



ワイルド・レーサー

監督:ミヒャエル・ケウシュ
出演:ルーク・J・ウィルキンス、ニルス・ブルーノ・シュミット 他
2004年 ドイツ映画

“ドイツ式公道レース”
アウトバーンの国、欧州車の中心であるドイツの公道レースムービー。
日本は峠を攻めるドリフトが公道レースの中心だが、ドイツはアウトバーンのスピードの世界。
アメリカ式“ワイルド・スピード”は市街戦ドラッグ的短距離戦だが、
ドイツの公道レースはアウトバーンの長距離戦。
ドイツ映画だけあって欧州車が数多く出ている。
6気筒のポルシェ911カレラ4S、V8のフェラーリ360モデナ、V12のディアブロ、
V8DOHCターボのマセラッティ3200GT、BMW E46など、
こんなに高級車、スーパーカーが出てくる公道ものは少ない。
アメ車ファンにもムスタングマッハ1やダッジバイパーGTS、クライスラールバロンなど、
スポーツカーと呼ばれるアメ車がやたらと出てくる。高級スーパーカー好きにはたまらない作品である。
サーキットの狼で育ったスーパーカー世代の車好きが実写の世界で車の走りを見たかったという人なら
お涙ものの1本でしょう。
本編中、やたらと走りのシーンが多く、メーターまわり、シフトワーク、ハンドルさばきとドライビングテクニックがたっぷり。
車の撮影のお手本的撮り方をしている。
アメリカの生活に密着した車文化と違って、遠乗りするヨーロッパ独特の車文化から
発生したことを感じさせる映画です。



ワイルド・スピードMAX FAST&FURIOUS

監督:ジャスティン・リン
出演:ヴィン・ディーゼル、ポール・ウォーカー、ミシェル・ロドリゲス、ジョーダナ・ブリュースター 他
配給:東宝東和 2009年 アメリカ映画

“タイヤのにおいや煙も目に染みる車好きなら誰もが五感で味わえる一本”
“ワイルド・スピード”シリーズは僕も好きなカーシリーズなのだが、ドリフト寄りとかストリート寄りとか、
片寄りすぎて自分の車の好みに合わないと、少し苦手な人もいたかもしれない。
かし、今回は、ドリフトカーやマッスルカーはもちろん、SUVのカスタムカーや、ブリブリのローライダーなど、
カスタムカー&チューンナップカー好きの全てを満たしてくれるカーラインナップ。
スクリーンで見られるカスタムカーショーのような仕上がりになっている。
しかも1作目のヴィン・ディーゼル扮するドミニクと、ポール・ウォーカー扮するブライアンのコンビが復活。
3作目のTOKYO DRIFTの最後に少し出ていたけど、この回を見ると納得。
個人的には、1作目2作目をこの作品を見る前にDVDで見て、
この作品を見た後に3作目を見ることをおすすめする。
カスタムの面白さ、ドライビングのリアリティ、公道レースのドキドキ感、車を魅せる喜びなど、
車好きの全てが詰まったこの作品。車好きなら必ず見るべし!!
ストレートな友情と愛情表現もスピード感あふれていて、ストーリーも突っ走っていて、
すごく時間が早く感じ楽しめる一本である。



DUST TO GLORY(ダスト・トゥ・グローリー)

監督:デイナ・ブラウン
出演:マイク“マウス”マッコイ、ジミー・バッサー、ロビー・ゴードン、ジョニー・キャンベル、ライアン・アルシエロ他
配給:グラッシィ
2006年7月22日〜シアターN渋谷にてロードショ


“砂のチューブの中で”
“DUST TO GLORY”は、あのサーフィン映画“エンドレス・サマー”や“栄光のライダー”を
監督したブルース・ブラウンの息子デイナ・ブラウンが撮った作品である。
デイナ自身も前作“ステップ・イントゥ・リキッド”でサーフィン映画を撮り、
まさに、親子でサーフ・モーターのシーンのバイブル的映画を作っている。

先日品川で、来日していたデイナ・ブラウンを会見した。
DUST TO GLORYパーティ以来、2度目である。
サンダンスの映画祭で“ステップ・イントゥ・リキッド”を観たライダー“マウス・マッコイ”が声をかけ、
デイナをバハ500を見せに連れて行ったそうだ。
バハ1000とは、メキシコの西側にある砂漠だらけのバハ・カリフォルニア半島の1000マイル、
つまり1600kmを不眠不休で車やバギー、オートバイで走り抜ける世界で最も過酷と言われるダートレースだ。
今年グアムに、Smokin'Wheelsという3時間耐久のダートレースを見に行った。
優勝は、おなじみのリック・ジョンソンだった。
砂を煙の様に巻き上げ走る。徐々に砂が作り出す波が大きくなっていく。
グアムではそのくらいだったが、DUST TO GLORYの世界、バハ1000では、ハワイの波くらい、
大きなチューブのように見えていた。
サーファーがチューブから出てくるように、カラフルだが汚れまくった車体がチューブの中から顔を出していく。
トップサーファー達に感じるドキドキ感が襲ってくる。カメラ50台と4台のヘリは、そんなレースを追い続けた。
この作品が描き出すパワーとスピードは、このレースに関わるすべてのドライバー、メカニッククルー、
大会関係者の情熱を浮かび出させていく。

チームメイトとの友情、死人が出ても止まらないレース、親子で参加し、レースの中で感じる親子愛。
いくつものドラマがすごいスピードで駆け抜けていく。
特に注目すべき点は、フォーカスワークとカメラの距離感である。
2人もしくはクルーといる時、人物の関係性を奥の人物から手前の人物にフォーカスを送っているカットが多々ある。
2人の人間関係を表情中心に見せている。
カメラの距離感としては、すごく近いところでピットクルーを見せ、自分もクルーの一員的目線で見せたかと思うと、
レースの状況は空撮などの遠い距離から客観的に見せている。
このカメラワークの感覚で、よりドラマティックにドライバー達を表現しているのではないだろうか?
普段の日本のスポーツ中継は、事実を抑えているだけのカメラワークだが、
DUST TO GLORYは、ドラマチックに、このレースを撮っていく。
このカメラワークこそが、単なるレース中継でなく
映画作品として感情移入させるように出来ている所以なのではないだろうか?

品川で会ったデイナは、奥さんと共にすごく良い笑顔で出迎えてくれた。
スポーツの中にドラマを見つけていく男は、いつも温かい。




SUPER CROSS(スーパークロス)

監督:スティーブ・ボーヤム
出演:スティーブ・ハウィー、マイク・ボーゲル、タイラー・エバンス、ジェイムズ・スチュワート、
リッキー・カーマイケル、チャド・リード、リック・ジョンソン 他
配給:日活
2006年9月〜シアターN渋谷にてロードショー

“オイルの匂いと砂煙と”
オフロードバイクが、スタジアムに作られたダートコースの中で、セクションを超えトリックしていく“SUPER CROSS”
BMXのダートと比べても、高さも距離も格段に違うし、
以前日本で“SUPER CROSS”が開催された時も、度肝を抜かされた。
ワンメイクのイベントは日本でも多々開催されている。
例えば、お台場で開催されている“Multi Plex”は毎年恒例のものとなっている。
この映画“SUPER CROSS”の魅力は、監督のスティーブ・ボーヤムがエクストリームを愛している人であることだ。
LAでサーフィン、スキー、モトクロスなどライダーとしても活躍し、スタントマンとしても数々の作品に参加している。
2001年には「モトクロスにかける夢」を監督し、エクストリーム大好きっぷりを匂わせている。
ライディング、特にスタイル的なことはそのジャンルを知らないと魅せることができないと思うが、
この監督はライディングなどもきちっとフォローしているのでMotoXの魅力がしっかり伝わってくる。
さらに、本物の有名ライダーが多数出場していること。チャド・リード、ジェームス・スチュワート、タイラー・エバンスと、
今世界のトップライダーからリック・ジョンソンなど往年のレジェンドライダーまで、スターライダーが出まくっている。
ストーリーとしては、兄弟の愛が役者によってきっちり演じられているのでMotoXファンじゃなくても楽しめる。

この作品は、誰もがモトクロスの魅力を感じることができる作りになっている。
では、モトクロスの魅力って何だろう?まずは、巨大なセクションだろう。
スケートボードやBMXのストリートセクションの何倍の大きさもあるジャンプ台。
セクションに入っていくスピード、そして高さ。近くにいると、完全に見上げないとエアが見れないほど、
すごい高さで飛んでいき、上空でトリックを決められるとアドレナリンが爆発していく。
そしてオイルの匂いと砂煙が五感全てを刺激してくれる。
250ccバイクが繰り出す無限のパワーをこの映画を通して感じて欲しい。




ワイルド・スピード×3 TOKYO DRIFT

監督:ジャスティン・リン
出演:ルーカス・ブラック、ナタリー・ケリー、BOW WOW、北川景子 他
配給:UIP
2006年9月16日〜ロードショー

“日本発ハリウッド逆輸入型レッドゾーンムービー”
最近また再加熱しつつあるドリフト&チューンナップシーン。
2007年の東京オートサロンはなんと3日で24万人も集めた。
D-1も世界進出を着実に始めている。
そして忘れてならないのが、この文化が日本発のモータースポーツであるということだ。
F-1もル・マンもバハもパリダカも、いろいろなモータースポーツはアメリカとヨーロッパの手によって作られた。
このドリフトというか、公道ものの根底は、HKSやBLITZなどのパーツメーカーや
EVO、シルビア、RXなど国産車メーカー、Optionなどの雑誌がずっと支え続けた文化だ。
ドリフトキング通称ドリキンの名を持つ土屋圭一などのドライバーや、ノブ谷口、ORIDO学などの現役ドライバー、
さらにD-1のノムケンやシャークなどのレーサーが育ててきた。
昨年、EVO[をIKURA氏のもと、カスタムしたのだが、マシンの性能を上げていくのも楽しいし、
作ってしまえばスピードを求め走らせたくなってしまう。
スピードへの興味は誰の本能の中にもある1つの要素なのではないだろうか?
“ワイルド・スピード×3 TOKYO DRIFT”みどころは、普段僕たちが見慣れている街中が舞台であるということ。
渋谷のスクランブル交差点、明治通り、首都高、道玄坂、新宿の大ガード。
いつも見慣れた風景をチューンナップカーが走り抜けていく。
実はハリウッドに再現されたセットが大部分らしいが、それを聞くと、ハリウッド映画のスケールをリアルに感じてしまう。
しかも、カーアクションはドリキン土屋氏がアドバイザーをやっているだけあってスリリングでエキサイティング。
こういう時、作りものの絶対ありえない事が(ex ジェット噴射で飛ぶとか)が起こると冷めてしまうが、
モーターファンががっかりすることのない作りになっている。
でも少しがっかりなのは、まだ日本の文化ってアメリカに伝わっていないのか…と思うところ
(主人公の学校での教師役柴田理恵とのやりとりなど)
でもストーリーは直球で、誰もが楽しめ、モーターファンなら納得のカーアクションは保障できる1本。
日本発のモーターカルチャーは見ておくべきであろう。




世界最速のインディアン

監督:ロジャー・ドナルドソン
出演:アンソニー・ホプキンス、ダイアン・ラッド、ポール・ロドリゲス 他
配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
2007年2月テアトルタイムズスクエア他全国ロードショー

“カスタムの最終型”
2006年12月からMTV JAPANで“JAP STATE”という車とバイクのカスタム番組をIKURA氏と共に制作・プロデュースした。
6話完結で7台の車やバイクをカスタムした。
その最終回でIKURA氏とアメ車界で有名なフォトグラファーでもあるよしおか和氏のフリートークを録ったが、
彼らは「やればやるほど難しくて楽しい。死ぬまでやりたい。」と、カスタムへの情熱を語っていた。
まさにその最終型ともいえる人物こそ、“世界最速のインディアン”の主人公バート・マンローであろう。
1899年ニュージーランド生まれで1901年に創業したオートバイメーカー“インディアン”をカスタムし尽くし、
ユタ州ボンヌビルのソルトフラッツで世界最速を目指すという実話を映画化した作品である。
バート・マンローを「羊たちの沈黙」で博士を演じていたアンソニー・ホプキンスが演じている。
カスタムにはまる人間は究極を追い求める。夢といえば美しく聞こえるが、ただ好きなだけなのであろう。
年老いても好きなことだけをやり続ける男。子供の頃のような瞳でバイクと対峙し続ける。僕にとっては理想の姿である。
怖いイメージしかなかったアンソニー・ホプキンスが、今回は夢を追う優しく純粋な男という意外性。
そして途中からそんなことすら忘れさせてしまうナチュラルな表情。
「ニューシネマパラダイス」のおじいさんを思い出させてくれるようなやすらかな表情、温かさに包みながらも信念を貫く強い意志。
モータースポーツやカスタムって本当に単純なことなのかもしれない。
人より速く走りたい、自分だけの1台を作りたい。そんな単純なことだからずっと愛することができるのかもしれない。
きっとバート・マンローはバイクをカスタムしながら、自分自身の心をもより強固なものカスタムし、
誰にもハンドルを曲げられない、真っ直ぐに走れる心とバイクを作っていたのであろう。
モータースポーツのスピリッツと人生の価値を教えてくれる実話を元にした作品。
カスタム最終型まで行った男だから伝えられる真実の物語である。




栄光のライダー (ON ANY SUNDAY)

監督:ブルース・ブラウン
出演もしくは声の出演:スティーブ・マックィーン、マート・ロウウィル、マルコム・スミス 他
1971年 アメリカ映画

“DUST TO GLORYのルーツはここに在った”
“joe kid pn a STING-RAY”というBMX映画を見た時、BMXの伝説のライダー達が、
BMXを始めたきっかけは“栄光のライダー”を見たからだと言っていたので、レンタルして見ることにした。

監督はブルース・ブラウン。
エクストリーム好き、サーフィン好きなら誰もが知っている“エンドレス・サマー”の監督であり、
STEP INTO LIQUID”や“DUST TO GLORY”の監督ディナ・ブラウンの父である。

オープニングバックで子供達が初期のBMXに乗っている。これが彼らの言っていたシーンなんだ。
今から思うと、普通のシーンだが、1970年代初頭には衝撃的であったのだろう。
何と言ったって、BMXの存在がほとんど知られていない頃だったから。

さて作品のほうはと言うと、とにかく70年代初頭のバイクレースの全てのカテゴリーを一気に見れる作品。
その一言に尽きる。

ダートレース、モトクロスレース、ロードレースだけでなく、山昇りレースやスノーレースまで、
ありとあらゆるバイクレースを見ることができる。

ただレースを紹介しているのではなく、スタート時にライダー達の顔をクローズアップにしたり、
その人の生活を見せたりすることで、親近感を味あわせてくれる。

以前、彼の息子ディナ・ブラウンと会った時、ちょうどダートレースの“DUST TO GLORY”が日本公開直前だった。
その時、彼は“人が面白いから撮り続けているんだ”と言った。すごく印象的な言葉だった。

ただトリックをおしゃれに見せるスポーツビデオはそこら中にあるが、この親子の考え方は、
僕的にすごく痛感するところがある。
彼らの作品が、ただのスポーツビデオの枠にとらわれない理由はここに在る。

70年代初頭のバイクレースを語りたいなら、是非見るべき1本である。



60セカンズ

監督:ドミニク・セナ
出演:ニコラス・ケイジ、アンジェリーナ・ジョリー、ジョバンニ・リビージ 他
2000年 アメリカ映画


“車オタク必見のオタクムービー”
モータースポーツというジャンルで扱って良いか悪いか分からないが、車好きならきっと楽しめる作品であろう。

ニコラス・ケイジ主演、車泥棒のストーリー“60セカンズ” 
オープニングから子供達のダートカートのシーンで始まる。
ニコラス・ケイジ扮するメンフィスのモータースポーツや車に対する愛情を感じさせられる。
このメンフィス、大の車好きであり、車オタクである。車種などに詳しいだけでなく、メカニックも完璧。
その究極の形が車泥棒だというわけである。
マフラーの音を聞いて車種を当てるのはもちろん、日頃の仲間とのトークも“超人ハルクに出てくる車はフォードだ”とか、
「刑事コロンボ」に登場する車についてなど、車オタクらしいトークを展開していく。
車好きならだれもがしているトークで共感が持てることだろう。

車もとにかくあらゆる名車がスクリーンを走り抜ける。アメ車、ヨーロッパ車、何でもあり。
’67ムスタングGT500、’83キャデラックのエルドラード、’39のフォード、フェラーリやメルセデス、
ともかく50台の車を盗むというストーリーだけあって50台の名車が出てくる。
しかも、しっかり走っているシーンが見られるのも素晴らしい。
笑えるのは、車を使ったエロトークの見本もばっちりあるところ。
“なめらかにギアを入れて”とか“俺の股間の4気筒”とか、車好きが使えるトークネタまである。

盗みを始める時“ローライダー”が流れる。この曲はIKURA&FUNKEE STYLEのライブの定番。
車好きの大将IKURAさんを思い出さずにはいられない作品である。
新車好き、カスタムカー好き、そしてニトロを積んだドラッグカーみたいなレース好き、
全ての車好きが楽しめる作品である。車を愛する人の作品である。
モータースポーツのスピリットとは少し違うが、ぜひ車好きには見て頂きたい1本である。




DAYS OF THUNDER

監督:トニー・スコット
出演:トム・クルーズ、ロバート・デュバル、ランディ・クエイド、ニコール・キッドマン 他
1990年 アメリカ映画

“アメリカのレーススピリッツを堪能”
オープニングからノースカロライナのデイトナ500のレース会場。
フラッグ、コース、ピット…レースの匂いがそのまま伝わってくる感じがする。
主役コールを演じているのは若き頃のトム・クルーズ。
コールがレースに入ってくるきっかけが、ESPNのテレビで見たレースという台詞があるが、
やはりESPNはアメリカのスポーツではメジャーな放送局なんだと改めて思い知らされた。
余談だが、アメフト映画の「エージェント」これもまたトム・クルーズ主演だが、
この作品ではESPNの社内までが映画の舞台になっている。

アメリカのレースらしく、オーバルコースのぶつかり合いのある迫力あるシーンもたっぷりだし、
車を作っているビルダーのシーンもあるので、車ファンも十分楽しめる作りになっている。
どのスポーツでもそうであろうが、“恐怖”という壁が自分の実力を縮ませることがある。
リーフに突っ込んだサーファーがビックウェーブに乗るのを恐れたり、
ダイビングキャッチで腕を折った野手が球を追いかけられなくなったり… 
この作品の中でもクラッシュを抜ける時に事故ったコールが、同じような場面でアクセルを踏めない様子を描いている。
“恐怖”という壁は全てのアスリートにとって、とてつもなく大きくのしかかってくるものなのだ。
その壁を乗り越えるには、選手自身の勇気、同じスポーツをしている仲間、チームメイトや友人、
恋人の力などいろいろなものが必要だとこの作品は教えてくれる。

レーススピリッツ、それはスピードに対する欲求と勇気。
だからこそ、僕達はモータースポーツに恋してしまうのである。
車はただの機械ではない。
なぜならドライバーやチームのスピリッツがそこにこめられているから。
アメリカのレーススピリッツを堪能したいなら、“DAYS OF THUNDER”を見るべきである。



ワイルド・スピード

監督:ロブ・コーエン
出演:ヴィン・ディーゼル、ポール・ウォーカー、ミシェル・ロドリゲス、ジョーダナ・ブリュースター 他

2001年 アメリカ映画

“ゼロヨンとチューニングカー”
今や人気シリーズとなった“ワイルド・スピード”シリーズの1作目であるこの作品。まるでOptionビデオ。
チューニングファンには満足できる作りになっている。
トラックを襲うのにチューンナップしたCivic。タイヤやTOYO TIRE。BLITZがチューンナップをしており、
バイナリでカラーリングもグラフィックもばっちりの車が走っている。
少し笑えるのは車を襲う時、オークリーのゴーグルをしていること。
確かにバイクや車の世界でオークリーのゴーグルはメジャーだが、なんで?
しかし、散弾銃でも割れないオークリーだからなぁ…。

ワイルド・スピード1作目はゼロヨン。しかも、ストリートゼロヨン。本当にOptionの企画みたいだ。
まず、ポール・ウォーカーとヴィン・ディーゼルのドライブテクニックがリアルであること。
監督のロブ・コーエンの演出も面白い。
CGでエンジンの中まで表現していてNOSの伝わり方も分かりやすい。
HKS USAがバックアップしているらしく、店内にはやたらとHKSの商品がディスプレイされている。
富士山のふもとのあの会社がハリウッド作品の中心に映っていると思うと、何だか不思議に感じる。
Civic、スープラ、RX8などの日本車はもちろん、シボレー、ムスタングなどアメ車好きにも楽しめる。
ドラッグ仕様の車とドラテクが楽しめるシーンは、すごくたくさんある。
特にトリプルXでエクストリーム好きの人にもおなじみのヴィン・ディーゼルの演技はリアリティ十分。

ストーリーは、友情の大切さを教えてくれる。ハンドルを握る者同志さからわかること。しかもストリートを生き抜く友達。
カスタム、チューニング、ストリート好きなら誰もが楽しめる作品。
特に“ワイルド・スピード2”を見るなら、その前に見ておくと楽しさも倍増するはずだ。




ワイルド・スピード×2

監督:ジョン・シングルトン
出演:ポール・ウォーカー、リュダクリス、タイリース・ギブソン、エヴァ・メンデス、デヴォン青木 他

2003年 アメリカ映画

“ストリートチューニングカーの世界”
1作目のゼロヨンの次は公道ストリートレース。
もちろん、ゼロヨンも公道レースだが、直線一発でなく街を使ったチューニングカーのストリートバトル。
まさにこれも、Optionの企画そのもの。
出てくる車も、HOND S2000、三菱ランエボZ、エクリプス・スパイダー、SUBARU WRX… とにかくまさに、Optionの世界。
前作と大きく変わったことは、監督がジョン・シングルトンになり、並走カットがやたらと多くなったこと。
並走で撮るということは、役者自身がカーアクションをこなさなくてはいけないということ。
なんと、デヴォン青木は免許も持っていなければ、車を運転したことももちろんなく、ドライビングリハーサルに入ったそうだ。
三菱のドライビングチームがレッスンをつけ、撮影前にはドリフトもこなせるようになったらしい。
アメリカでは、日本のチューニングカーがブームである。
D-1もラスベガスなどで展開するようになったし、HKS USAなどの商品も売れているらしい。
キャノンボールなどが好きなアメリカ人にとって、ストリートチューニングカーの世界は嫌いなはずがない。
内容的には、昔の友人とタッグを組んで、潜入捜査をするというストーリーだが、ストレートで分かりやすい。
ドライビングシーンもとにかく多くて、チューニング好きにはたまらない1本である。