ミスターGO!

監督:キム・ヨンファ
出演:シュー・チャオ、ソン・ドンイル、キム・ガンウ、オダギリジョー他
2013年 韓国映画

“友情と期待”
韓国のプロ野球チームに、中国のサーカス団のゴリラが助っ人として入団し、
選手になってしまうという完全なコメディ野球映画だが、実は感動ものの作品です。
サーカス団を守る1人の少女とゴリラ。金儲けのつもりでゴリラをスカウトしたエージェント。
交わるはずのない3人が「お金」の為に手を組んでしまう。
サーカスの借金を返したい少女、金を稼ぎたい男。お互いに自分の為に始めたことだが、苦難に共に立ち向かううちに心が通じていく。
そしてゴリラにまでその友情は伝わっていく。
人は期待に応えようとするが、その感情はゴリラなど動物には関係ないものである。
しかし、そんなゴリラが期待に応えようとする。「期待に応えたい」という気持ちは本能なのかもしれないと思わされる作品でした。
最初はただのコメディ映画のつもりで見ていたのですが、どんどんこの不思議な世界観に引き込まれ、
途中から普通の野球を見ているかのように、応援している自分に後から気づき、少し驚いています。
親子で見るにはとても良い作品。「友情」と「期待」に応えられる子どもを育てたい親御さんは、是非お子さんと一緒に鑑賞してください。



42 世界を変えた男

監督:ブライアン・ヘルゲランド
出演:チャドウィック・ボーズマン、ハリソン・フォード他
2013年 アメリカ映画

“スポーツと改革”
史上初の黒人メジャーリーガーとなり、スポーツにおける人種差別の壁を取り払うきっかけとなったジャッキー・ロビンソンの半生を描いた作品。
1947年、第2次世界大戦が終わり、アメリカはまだ人種差別がしっかり残っていた頃、
ブルックリン・ドジャース(現在のロサンゼルス・ドジャース)のGMブランチ・リッキーはジャッキーとメジャー契約を結ぶ。
最初はチーム内からの反対に合い、その後も敵チームやマスコミにたたかれ続けたジャッキー。
しかし彼の強い意志とGMリッキーの強い信念がやがて周囲を変えていく。
そして今や黒人選手のいない大リーグチームなぞ存在しない。
ジャッキーの背番号42番はアメリカ全球団の永久欠番にさえなっている。
改革、特に社会的慣習に逆らった時は大変な苦労がいるものだ。
しかし“平和の祭典”と呼ばれるオリンピックや国交の無い国との国際試合など
スポーツは1つのルールのもと世界を1つに出来る手段でもあると思う。
政治とは切り離され、人類を1つにしてくれるスポーツも、いざ改革となると非常に困難であることは間違いない。
しかし、ここで成功した鍵は2人が“ジェントルマン”であったことだと思う。それをスポーツマンシップと表現しても良いだろう。
スポーツの改革に必要なことはスポーツマンシップとチームワークだと痛感させられた。
ビジネスや政治にも使われるスポーツの世界で必要な鍵はこの2つだと再認識させてくれる作品である。



マネーボール

監督:ベネット・ミラー
出演:ブラット・ピット、ジョナ・ヒル、フィリップ・シーモア・ホフマン他
2011年 アメリカ映画

“スポーツマネージメントとは?”
私は映画は映画館で見るのが好きだが、飛行機の中で見るのも好きである。
水球日本代表がロンドンオリンピック予選直前に行ったオーストラリア合宿の取材の時、この映画を機内で見た。
今や松井秀喜選手も入団し、日本にも馴染みのある球団“アスレチックス”。
冒頭でヤンキースと年棒の比較を試合中の選手に表示し、いかに貧乏球団かを見せ、
ブラット・ピット演じるGM(ゼネラルマネージャー)ビリーが登場する。
ビリーは高校の時、有望な選手で大学に行かずに今契約をしたいとスカウトに言われメッツに入団するが、
選手としては花を咲かせることが出来ず、球団スタッフとなる。
チームを強くする為にビリーが取り入れたものは“経済学”であった。
大金が動く大リーグにおいて、実力はあっても評価されない選手達はいた。
「投げ方が変だ」「気分屋である」そんなメンバーを安く集め、チームとしてまとめていった。
“データ”を重視したビリーも、それだけでは上手く行かなかった。
選手と直接話をし、考えを伝え、一体化することで徐々に結果が出てくる。
時にはシビアな決断をしたり、時には悩み苦しむ。
「チームを作ること」「スポーツマネージメントするとは何か」そんなヒントがたくさん込められている作品であった。
僕も考えさせられることがたくさんあった。
水球日本代表チームが「チームとして成立していっている姿」を取り上げられた取材の後だったこともあり、
非常に感銘を受けた。
スポーツマネージメントって何だろう?僕もいつも考えているテーマだ。
この作品が世界中で見られていること。
これもスポーツマネージメント的には大きな効果だろう。
“チーム作り”それはいろいろな世界に通じる永遠のテーマだ。
自分の周りのチームを思い浮かべながら見てほしい作品である。



アメリカンパスタイム 俺たちの星条旗

監督:デズモンド・ナカノ
出演:ゲイリー・コール、アーロン・ヨー、中村雅俊他
2007年 アメリカ映画

“第2次世界大戦とアメリカンジャップ”
中村雅俊も出演しているアメリカ映画。第2次世界大戦が始まり、
日系アメリカ人は強制収容キャンプに収監される。
アメリカへの忠誠を誓う彼らの中には、日系だけの師団を組まれ、
ドイツ・イタリア相手に前線で戦う者もおり、
厳しい収監所も自分達でお金を出し合って壁を直したり、病気の人を守ったりして助け合っていた。
フェンスの外に出られない生活でもパーティをやったり畑を作ったりと自分達の生活を作り出していた。
そんな時、皆をまとめる為、中村雅俊演じる日系1世“カズノムラ”が始めた事が、
キャンプの中に野球場を作り、野球チームを作る事だった。
自分がアメリカに渡ってきた時、言葉も通じずバカにされたが、
野球が上手くなってアメリカのコミュニティに混じれた事がそのきっかけであった。
そんな日系キャンプの野球チームがアメリカ人と試合をする事になる。
彼らは自分達の尊厳をかけフィールドに向かう。果たして彼らの試合の結果は?というストーリーである。
第2次世界大戦時の最後の早慶戦などの作品は何度か見た事があったが、
アメリカに残っている日系人を描いている作品は初めてだった。
戦争をしている国に残り、そこで生きている人のことなんて
戦争を起こした人達は何も考えていなかったに違いない。
苦しい中、「1つのスポーツ」で勇気や希望を持ち、敵である国民と違う形で戦い、
そして戦った後に互いに信頼や尊厳が生まれる。
戦争をせずスポーツで国の尊厳をかけて戦うこと、武器を持たず、
ルールの中で体と気持ちをぶつけ合うことの重要さを痛感させられる作品です。



走れ!イチロー

監督:大森一樹
出演:中村雅俊、浅野ゆう子、川口和久他
2001年 日本映画

“自分のダイヤモンド”
3人のイチローがいる。1人は一浪の浪人生。1人はイチローという名前の作家。
もう1人はイチローという名の元社会人野球の選手で、いまやリストラされた男。
そんな3人が、震災後の神戸に集まり、すれ違う中、
当時オリックスにいて大リーグに向かう野球選手“イチロー”を見つつ、
自分にとっての“ダイヤモンド”輝ける場所はどこかを探しているというストーリー。
阪神淡路大震災の後、力強く生きた人、心に大きな傷を負った人、
復興の時は力強かったのに東京に行き心にぽっかり穴を開けた人。
大災害は人に様々な影響を与えるものである。
2011年に起こった東日本大震災もそのような影響が多々起こるだろう。
しかし、イチローの躍動感やオリックスの頑張りは、神戸の人に元気を与えた。
東日本大震災から3ヶ月ほど経った今、サッカーのベガルタ仙台や野球の東北楽天などが、
東北の人達に勇気を与え続けている。
スポーツはそんな力を持っているのかもしれない。
自分達の輝ける場所を求めている人達に、復興の後押しが出来るスポーツ。
その力はどこから来るのだろうか?
きっと必死に戦っている姿を見せることで、自分達だけが頑張っているのではない、という気持ちを与えるのだろう。
今回、東日本大震災の後でこの作品を見て、今、自分に何が出来るかを考えさせられた。
それはきっと無理に何かをするのではなく、自分なりの出来ることをきちっとやっていくことなのだろう。
自分なりのダイヤモンドを見つけ頑張ることこそ、パワーになるのだと再確認できた。
もやもやして自分に不安になっている人に見て欲しい作品です。



英霊たちの応援歌/最後の早慶戦

監督:岡本喜八
出演:永島敏行、勝野洋、本田博太郎他
1979年 日本映画

“平和無くしてスポーツは無し”
巨匠岡本喜八が昭和十年代後半から第二次世界大戦の為、
野球を取り上げられた大学生達の短い命の中、燃やし続けた気持ちを描いた作品“英霊たちの応援歌”
野球は欧米から入ってきたスポーツとして弾圧され、六大学野球なども中止に追い込まれていく。
学徒出陣も決まり、最後の試合がしたいと早慶戦が行われる。
その後、学生達は軍に入り、特攻隊などで命を落としていく。
その中でも野球や仲間のことを思い、死と直面しても前に進んでいく。
今の時代、もし戦争が起こったとしたら、こんなに熱く生きていける若者はいるのだろうか?
教育の問題もあるのだろうが、ここまで熱く生きていたあの時代の若者達が少しうらやましいと思った。
もちろん戦争に巻き込まれたくない。
戦争中にスポーツをする環境も無くなってしまうし、“生きる”か“死ぬ”かしか考えられなくなり、頭が変になってきてしまう。
スポーツというものは平和という基盤の上に成立していると思う。
皆が楽しくスポーツをする為には、平和が絶対条件である。
“平和に戦う”“フェアに戦う”そんなスポーツマンシップが広がり、
終わった後には両者を讃える精神があれば戦争など起こらないはずなのだが。
第二次世界大戦が終わって100年も経っていない。
しかし、年配の方々はあの戦争を知っていても、僕達は全く知らない。
“平和を守る”という気持ちを風化させてはいけない。
この作品を通して、“平和の大切さ”そして
“スポーツが出来る今の時代の環境の尊さ”を忘れないようにしたい。



キャプテン

監督:室賀厚
出演:布施紀行、小川拓哉、筧利夫他
2007年 日本映画

“努力を教えてくれるスタンダード”
ちばあきおの漫画“キャプテン”が映画化された作品です。
この漫画は昔から散髪屋に行くと“ゴルゴ13”と共に必ずあった気がします。
しかも夏休みになると午前中によくアニメで放映していて、
ある世代以上の人達にとってはスポーツもののスタンダードとも言える作品です。
漫画やアニメだとすごく長い話なのですが約100分にまとまっているので一気に観ることが出来ます。
(タカオ中学時代の話だけですが…)
漫画原作の映画化の利点は、長いストーリーをコンパクトに一気に観られることも1つあります。
ストーリーとしては、名門青葉学院で球拾いをしていた谷口タカオが、墨谷二中という公立の弱小野球部に入部し、
名門出身というだけで力も無いタカオがキャプテンにされてしまうところから始まります。
野球の下手で弱気だったタカオが努力して上手になり、自信もついて、
チームにもダメでいいんだという投げやりな気持ちを捨てさせて
勝って本当の楽しさを手に入れたいという道まで持っていきます。
ダメな人間が周囲から期待され、“努力”し“成長”する。
単純と言えば単純ですが、その“努力”は続けていれば、色々な形で報われるということを教えてくれます。
若い人達に一度見てもらい、40代以上の人達はこんな風に“スポーツ”を“野球”を“チーム”を見ているんだということを
知ってもらえば同じ土俵に立って色々と話し合えたりするものなんだけどな…と思いました。
是非、原作を知らない若い世代の人達に見てもらいたい作品の1つです。



がんばれ!ベアーズ

監督:マイケル・リッチー
出演:ウォルター・マッソー、テイタム・オニール他
1976年 アメリカ映画

“アメリカの家庭生活を考える”
アメリカの野球映画の定番中の定番と言えば、この“がんばれ!ベアーズ”だろう。
だめな子供達とダメコーチ。ダメコーチは、メジャーリーグまで上がれなかった元プロ野球選手。
そして、才能のある、彼の元恋人の娘。
皆下手だけど野球大好きな子供達の頑張りに、いつの間にか大人のコーチも頑張ろうという気持ちになっていく。
この構造で、この後何本のスポーツ映画が出来ただろうか?
日本映画でもアイスホッケーの「smile」など数々の作品がこの構造で作られている。
いじめられっ子、不良、男女の差、いろいろな問題がある中で、
スポーツを通してあきらめていた何かを思い出していく。
すごく単純なストーリーだが、ついつい入っていってしまう。
ひょっとして単純だから入りやすいのかもしれない。
最近、地域の子供達のスポーツが違う方向に行っている気がする時がある。
やたらと自分の子供を出場させたがる親や、友達と仲良くすることより上手になることを大切にしている親が多く、
子供達が友達を作ったり、道徳や社会のルールを学ぶ場所では無くなっているように思う。
子供達のスポーツは上手になることも大切だが、楽しく健康になり、友達と出会い、
ルールを守ることを覚える場だと思う。
そして地域が子供達を応援してあげて、社会の一員であることを感じる場だと思う。
子供にスポーツをやらせている親は、一度この作品を見て、子供とスポーツの関わり方を改めて考えてみてほしい。



バッテリー

監督:滝田洋二郎
出演:林遣都、山田健太他
2006年 日本映画

“子供達の信頼関係”
小6の終わりから中1の夏前までの軟式野球をしている少年達のバッテリーを描いた作品“バッテリー”
ピッチャーの少年は、父が転勤族で、病弱な弟がいる。
友達が作れず、自分の球速だけを信じ、孤独に野球を続けていた。
キャッチャーの少年は田舎の村ですくすくと育っていった。
父の転勤で母親の田舎にやってきたピッチャー。
母親同士が友達だった彼とキャッチャー、この2人がバッテリーを組むことになる。
ピッチャーの球速が速すぎて、しっかりキャッチできないキャッチャー。
しかし笑顔で何回も練習を要求し、2人の信頼関係が築かれていく。
この作品の面白いところは“野球”を通して人生の格言にもなりそうなシーンがたくさんあることである。
“野球は気持ちを伝える力”を持っていることや、プレイ1つでその人間関係を表現していたり…。
スポーツを真剣にすると、言葉にしなくても、いや言葉にしないからこそ伝わることがたくさんある。
試合を見ると、そのチームの練習量が見えてしまうことがある。
それは上手とか下手ということでなく、チームに信頼関係が出来上がっているとか方向性が固まっているなど、
人間関係が深いかどうかが見えてくるのである。
最近他人と上手にコミュニケーションできない若者が増えているような気がする。
メールやTwitter、mixiなどコミュニケーションツールはたくさん生まれたが、
文字にしないと相手に伝えられない人が増えているのではないだろうか?
相手の顔を見て、表情で伝え、相手の気持ちを感じる能力を育てるには、
スポーツをさせることが一番ではないだろうか?



メジャーリーグ2

監督:デヴィッド・S・ウォード
出演:トム・ベレンジャー、チャーリー・シーン、コービン・バーンセン他
1994年 アメリカ映画

“情熱を無くした時”
毎年最下位のクリーブランドインディアンズが、それぞれ問題のある選手達なのに
団結してリーグ優勝するまでを描いたメジャーリーグの続編。
チャーリー・シーンをはじめ、ほとんどのキャストが出演しているので、
この作品はメジャーリーグ“1”を見てから見ないと面白さが半減してしまうだろう。
作品の冒頭に少しだけ前作の振り返り的部分がダイジェストで入っているが、そ
れだけでは変わってしまったキャラクターを理解出来ない。
前年優勝し、貧しい中試合をしていたメンバーが大金を持ったことで変化が起こる。
ガツガツと前に進み、暴れん坊だった“ワイルド・シング”の異名を持つピッチャーはスーツを着て守りの生活になり、
センターの勢いだけの快足男は映画に出たりしてがむしゃらにチームの為に走ることは無くなった。
怒りをパワーにしていたホームランバッターは平和主義になりパワーを失った。
お金や世間を気にしすぎて、自分を失い、チームの団結も失うインディアンズが、
もう一度奮起するきっかけになったのは、若手のがむしゃらに野球をしたいメンバーや、
日本から海を渡ってきて、やる気を全面に出す石橋貴明演じる外野手、
そして皆が愛する監督の入院だった。
プロスポーツ選手は、観客に見てもらって“ナンボ”の商売かもしれないが、
彼達が見たがっているのは“ベストゲーム”であり、“俳優的演技”ではない。
格好つけてフィールドに立つ人間にファンはついてこない。
アスリートの仕事は、最高のパフォーマンスを見せることである。
そんな単純なことを思い出させてくれる作品です。
この映画を見て、“がむしゃら”にスポーツする楽しさを感じて下さい。



がんばれ!ベンチウォーマーズ

監督:デニス・デューガン
出演:ロブ・シュナイダー、デヴィッド・スペード、ジョン・ヘダー他
2006年 アメリカ映画

“オタクとイジメとスポーツと”
オタク達をいじめるリトルリーグのチーム相手に立ち上がった大人3人の野球チームが戦っていく姿を見せることで、
イジメ撤廃と野球は誰もが楽しめるということを教えていく“がんばれ!ベンチウォーマーズ”
オタクをバカにしたり、いじめているシーンは下品なものもいくつかあるが、
暗く陰湿なものは少なく、笑えるものが多いので、嫌な気分にはならずに見ることが出来る。
タクでもてない2人と、昔いじめっ子だった男の3人の大人達。
昔の立場は違えど、3人とも「イジメ」を撤廃しようと思っている。
オタクなりに頑張って徐々にチームがまとまり、リトルリーグの子供達に勝っていく。
オタク達はネットで見たり、球場に足を運び人気者になっていく。
スポーツは誰もが楽しく出来るものであり、誰もが平等に出来ることだと伝えている。
ルールを守ること、誰もが平等に楽しめること、喜びを共有出来ることなど、
スポーツの持つ良さがぎっしり詰まっている作品である。
運動が苦手な人をバカにする人、オタクでこもってばかりの人に是非見てもらいたい作品。
さらに、スポーツファンが楽しめるのは、殿堂入りしたレジー・ジャクソンが出演していることである。
古巣ヤンキースのキャップをかぶり、ピックアップトラックから思いっきりバットを振り回し、
郵便受けをふっ飛ばすレジーの姿には、ホームランバッターの風格が残っている。
ピンポンダッシュに、ドリフターズ的下品な笑い。
でもイジメを無くすことを、笑いの中でしっかりと伝えてくれる。
娯楽の中での教育という意味でとても良い作品です。



メジャーリーグ

監督:デヴィッド・S・ウォード
出演:トム・ベレンジャー、チャーリー・シーン、コービン・バーンセン他
1989年 アメリカ映画

“笑いの中に広がる友情”
チャーリー・シーンの出世作となり、あの名曲“ワイルド・シング”と言えば、
野球映画“メジャーリーグ”を思い出す人は多いでしょう。
ホームタウンを捨て、マイアミにチームを動かしたい故オーナー夫人は、
自分のチーム“インディアンズ”が最下位になり集客できないことを望んでいた。
そのためチームは、ケガをしてスター選手から落ちてしまったベテラン選手や、
名もない刑務所にいる選手など、現在一流とは言えないプレイヤーを集め、チームを運営することにした。
しかしそんな落ちこぼれ選手達も次のシーズンに夢を抱き、団結し、勝利に向け頑張っていく。
全体的に笑いがベースになったストレートなストーリーなのだが、
アメリカ人が“ベースボール”好きな感覚を見事に表現している。
アメリカのベースボールは全てが“阪神のよう”に地元のシンボルであり、
チームが強くなると町全体が活気にあふれるのである。
バスケットやアイスホッケーやアメフトにも感じるのだが、
アメリカに仕事に行くと必ず自分の町のスポーツチームの自慢話を聞かされる。
しかしそのチームが弱い時には、誰もその話をしない。
アメリカにとってスポーツとは、町の活気度のバロメーターである。
そんな町の人達のため、自分のプライドのため、自分達のチームが家族的になるため、
友情を育て1つになっていく様子が、笑いながらも心の真ん中に少しずつしみこんでくる。
どんな人間も団結し、1つの目標に向かうと、いつか叶うという希望を与えてくれる作品である。



陽だまりのグラウンド

監督:ブライアン・ロビンス
出演:キアヌ・リーヴス、ダイアン・レイン他
2001年 アメリカ映画

“スラムの子供達の希望”
キアヌ・リーヴス主演、スラムの子供達のチームの監督と少年達を描いた
野球映画“陽だまりのグラウンド”
元々、職もまともにつかず、賭けで生活を立てていた男も
借金に追われ、金を借りる条件として、スラムのリトルリーグのコーチをするように言われた。
すぐには賭けの世界から抜け出せず、ダメな生活を送っている。
しかし、自分のチームの子供が襲われたりしていくうちに、
守ってあげないといけない気分になり、少しずつまじめにコーチをするようになっていく。
貧しくて危ない地域の子供達には、スポーツに夢を持ち、
プロになってスターを目指す子供達が多くいるらしい。
しかし、環境が悪く、挫折してしまう子供達もたくさんいる。
スポーツはアメリカンドリームの1つである。
本当に夢を追うことが出来る環境を作ることは、大人の使命である。
そのことを教えてくれる作品だ。
アメリカみたいに貧富の差を日本で感じることは無いが、
ハングリーに戦う子供達は、こんなところから出てくるのだろうなと痛感してしまった。
常にスポーツが夢を持てるものであるよう、僕達が出来ることとは何か?
スポーツが創り出す様々な要素がぎっしり詰まった1本である。



ラストゲーム 最後の早慶戦

監督:神山征二郎
出演:渡辺大、柄本佑、和田光司他
2008年 日本映画

“戦争とスポーツ”
昭和18年10月16日、学徒出陣の5日前、徴兵される学生達が
最後に野球の試合がしたいという夢、早慶戦が行われるまでの出来事を
事実をもとに映画化した作品“ラストゲーム 最後の早慶戦”
この年の4月、空襲の標的にされるため、多くの人が一箇所に集まらないよう
6大学野球連盟は解散させられ、試合すら出来ない状況であった。
そんな中でも、練習を続けていた早大野球部。
学徒出陣が決まり、すべての大学生が戦場に行くことになった。
死ぬかもしれないのなら、最後に試合がしたい。
そこで早慶戦の話が持ち上がった。しかし、早稲田の学長から反対される。
そんな中、野球部の部長が全責任を持ち、早稲田所有の球場、早大戸塚球場で試合が行われた。
その後、多くの若い生命が戦場で消えていったのである。
スポーツは平和の象徴である。
「政治を野球に持ち込んではいけない」という台詞が、この作品の中に出てくるが、
今でもオリンピックなどは政治的問題でボイコットすることがある。
アスリート達にとって、戦争は関係ない。
そしてスポーツを愛する人達にとっても、戦争は関係ない。
平和でスポーツを楽しめる時代が続いて欲しいと心から思わされる作品である。



オールド・ルーキー


監督:ジョン・リー・ハンコック
出演:デニス・クエイド、レイチェル・グリフィス、ジェイ・ヘルナンデス他
2002年 アメリカ映画

“夢を持っていい年齢”
子供の頃から野球好きだった少年は、父の仕事で転校続き。
父は夢よりも地に足をつけた生活を望んでいた。
メジャーリーグの夢に向かって頑張った時もあったが、肩を壊し断念。
高校教師をしながら、野球部の監督を務める。
情熱も無く野球をやっている高校生と“もし地区大会に出場出来たらメジャーを目指す”という
約束をする。
夢に向かう大切さを教えたかったのだ。
前年、地域リーグで1勝しか出来なかったチームが、1位になり、
見事地区大会に駒を進める。
先生は約束を守るため、3Aのテストを受け、合格する。
3Aは安月給で、妻や子供がいる中年が挑戦するには無理も多かった。
妻が「8歳の子供にも夢を持つ大切さを教えてよ」という一言が、
中年元教師の背中を押した。
教え子、街の人、家族、そして夢の大切さを否定していた父までが
彼の挑戦に期待をするようになっていた。
そして、ついにメジャーリーグのマウンドに立つのである。
2シーズン、彼はタンパベイの投手として活躍する。
しかも、これは、事実が元になっている話なのである。
若い頃は夢を追う人も多いが、大人になり家族を持ったりすると、
夢をあきらめる人が多い。
「年だから…」「家庭もあるし…」そんな言葉で自分の夢をどこか別のところに追いやってしまう。
人生とは、人として生きること。
人として生きることとは、夢や目標に向かうこと。
夢は若者だけが持てる特権ではない。
大人が夢を持ち、頑張る姿は、子供や若者にも大きな影響を与えることが出来る。
夢に年齢制限が無いことを、この作品は教えてくれる。
皆いくつになっても、新しい夢に向かえば“オールド・ルーキー”もなれるチャンスがあるんだ。



ナチュラル

監督:バリー・レヴィンソン
出演:ロバート・レッドフォード、グレン・クローズ、ロバート・デュバル他
1984年 アメリカ映画

“運命とは何だろう”
好運と不運に振り回されたロバート・レッドフォード演じる大リーガーを描いた作品“ナチュラル”
冒頭、無音の中、田舎からシカゴに大リーガーとして呼ばれた男がホームに立っている。
汽車の鐘と車輪の音が近づいてくる。
農場で父が倒れて死に、その後、父の倒れた場所の木が雷で倒れる。
父は少年の野球の才能を信じていた。
少年は倒れた木でバットを作り、野球を真剣に始め、大リーガーに呼ばれるまで成長した。
しかし、旅の途中で、謎の女に肩を撃たれる。
16年、治療や心を癒す人生を送り、年老いてNYの大リーガーチームの選手として入団。
打者に転向し、ホームランを打ちまくり、子供達のヒーローになるのだが、
首位を決める試合の直前、毒を盛られ、緊急入院。
プレイオフにも出場できず…と、とにかく好運と不運の繰り返しが次々に繰り返されていく。
運命って何だろう…と考えさせられる。
どんな人間も運命に振り回されるが、スポーツは特に、毎回勝ち負けや順位が決まるので
目に見えやすいものである。
あの時、あの人に出会ったから… あの時あそこにいたから…
偶然の繰り返しが運命を分ける。
しかし、その運命を受け入れ、前に進む力が大切なのである。
不運に文句を言って腐っていても、次の好運はやってこない。
不運を怖がって、踏み出さなかったら、好運はやってこない。
前に一歩踏み出し、全てを受け入れる力こそが、自分を大きくしていく力なのである。



ROOKIES-卒業-

監督:平川雄一朗
出演:佐藤隆太、市原隼人、小出恵介 他
2009年 日本映画

“高校野球というもの”
高校野球は野球というカテゴリーの中でも、一種独特なものを感じる。
ルールも格好も一緒なのに、何故なのだろうか?
その答えをこの作品の中に見たような気がする。
学校生活とクラブ活動という生活の中心に、プレイだけでなく、
先生と生徒という関係の中で、生き方や精神を学ぶ場所であるということ。
不良だった若者達は夢や希望を見失っていた。
1人の先生が熱く指導し、野球を通して、夢に向かう大切さを教えていく。
それぞれの生徒が高校野球を通して、心を育てていくことが重要なのだ。
さらにトーナメント形式でやっているので、一度負けると終わりということ。
泥臭くても、常に“1点”“1点”と、貪欲に追いかける姿がプロ野球と違うところだろう。
ユニフォームを泥まみれにしながら、大声を出して白球を追う。
甲子園という彼らの聖地には、一度でも負けると行けなくなってしまう。
ひたすら同じ夢を持つ若者達の情熱的プレイに感動があるのだろう。
漫画、ドラマを経て映画になった“ROOKIES”
若い役者達の熱い演技と、ただひたすらに前向きに生徒を後押しする先生の言葉。
“夢にときめけ、明日にきらめけ”
最近の若者は感動が無いのか?なんて言う人も、甲子園球児を見ると、そんな言葉を言えなくなる。
映画“ROOKIES”は、高校生達の挫折から立ち直る力、夢を追うパワーを見せ付けられる。
新しい高校野球映画のスタンダードとして残っていく作品になることだろう。



フィールド・オブ・ドリームス

監督:フィル・アルデン・ロビンソン
出演:ケビン・コスナー、エイミー・マディガン、ギャビー・ホフマン 他
1989年 アメリカ映画

“天国の野球場”
ケビン・コスナーの野球映画の定番と言えば“フィールド・オブ・ドリームス”
お告げを聞いた男が自分の畑を野球場にしてしまう話。
その球場に、大リーグを追放になったり、1試合しか出場できなかった選手から名選手まで
死者なのに現れて試合を始める。
そしてプロ選手だった父も出没し、死んだ父と再会できるというストーリーである。
ケビン・コスナー演じる農園主は、子供の頃に父に野球を強引にやらされたことで
辞めてしまったが、父とのキャッチボールだけは楽しんでいた。
死んだ父とやりたかったこと、それはキャッチボールだった。
2人だけでキャッチボールするシーン。お互いに無言で球を投げては捕る。
この繰り返しが何も言っていないのに会話をしているように見えた。
野球をしている人なら誰もがキャッチボールをしただろう。
僕も子供の頃、親子でキャッチボールをしている人を見るとうらやましかった。
一球一球ごとに2人の距離が縮まっていく感じがした。
僕は親子のキャッチボールの経験が無い。だから野球をすることにはまらなかったのかもしれない。
この感覚は、世界共通の感覚だと思う。
現在でも、撮影場所になったトウモロコシ畑と、撮影のために作った野球場に世界中から集まる人がいると
聞いたことがある。
作品の中で「ここは天国か?」と主人公が聞かれるシーンが2回ある。
1回目は「アイオワだ」と言い切り、2回目は「天国かもしれない」と言っている。
誰もが夢を持ち、叶えた場所は、“天国”である。
自分の夢を信じ、頑張った場所が、その人にとっての“フィールド・オブ・ドリームス”なのかもしれない。
僕もそんな場所を作らなくては…と強く思わされた1本でした。



Mr.3000

監督:チャールズ・ストーン三世
出演:バーニー・マック、アンジェラ・バセット、マイケル・リスポリ 他
2004年 アメリカ映画

“記録より記憶”
人気タレント“バーニー・マック”が有名メジャーリーガーに扮する痛快な野球映画。
ブリュワーズの伝説の選手という役なのだが、役者達は数週間野球の練習キャンプをしたり、
脇役の人は、元メジャーリーガーやマイナーの選手、大学のトップ選手などをトライアウトして
メジャーリーガーが本当にプレイしているように見せている。
これだけ本格的に“BASE BALL”を見せようとするのは、アメリカ人誰もが知っているからに違いない。
僕は、他の作品の解説でも言ったかもしれないが、嘘っぽさが見せた時点でスポーツ映画は冷めてしまう。
だからこそ、プレイや立ち振る舞い、衣裳、歩き方、ベンチの様子などしっかり作っていかなくてはならない。
さらに本当に思わせるのは、アメリカの本当のテレビ番組が、その出演者、セットの中で展開されているのだ。
ESPNの“SPORTS CENTER”や他のスポーツワイド、さらには人気のトーク番組まで出てくる。
ここまでやれば、本物なのか?と思ってしまう人も多いに違いない。
ストーリーは、“野球の殿堂”入りと、3000本安打にだけこだわった、
わがままで自己主義なプレイヤーを、バーニー・マックが演じている。
彼は、3000本安打、打った瞬間、チームのことを考えずにチームを辞めてしまう。
ところが9年後、スコアミスで3本足りないことがわかり、“3000本”を売りに商売をしていた彼は
チームに戻り、あと3本ヒットを打つ決心をする。
本当に身勝手な男だが、オーナーは客寄せになるから彼を利用しようと決める。
しかし、チームに戻った彼は、自分の居場所が無く、若い頃の自分みたいな選手を見て、
記録よりチームのために戦うようになっていく。
他人のために何かをすることは幸せにつながることを教えてくれるハートウォーミングな1本です。



サマーリーグ

監督:マイク・トーリン
出演:フレディ・プリンズ、ジェシカ・ビール、ブリタニー・マーフィー 他
2001年 アメリカ映画

“誇りとは?”
全米の大学生が夏の時期に集められ毎日のように試合を行い、MLBやマイナーのスカウトが見に来る“サマーリーグ”
このサマーリーグに7年ぶりに地元の若者が参加し、プロを目指す最後の挑戦を描いた作品である。
リゾート地でもあるこの地には、多くの金持ちが別荘を持ち、
若者は、父と共にこの別荘の草刈りを仕事にしつつ大学で野球をやっていた。
他の選手達はすでにスカウトから声を掛けられていたり、全米代表ということで有名になっている。
“草刈りボーイ”の叶わない夢としてさげすんで見ている選手や、
貧乏人をバカにし、夢を持つなと言う金持ちなど、彼に対し冷たい人々は多々いた。
「夢を持つことを怖がらないで。夢にリスクはつきものよ」という金持ちの娘に恋をし、
「お前は俺達の誇りだから」と地元の友達に応援される。
チームの監督も夢を掴みきれなかった1人なのだが、“頑張っていたら夢に手が届く瞬間がある”ことを教え、
彼の心の弱さを取り除いていく。
僕の印象に残ったシーンは、父が金持ちに言った一言だ。
「貧乏人にもプライドを持つ権利がある」
夢は誰もが持てて、夢に向かって誰もが努力できることをずばり表現していたあのシーンは
とても力強かった。
アメリカンドリームは、アメリカに住んでいる人誰もが可能性がある。
同じようにジャパンドリームもきっとあるのだろう。
何か自分の夢に向かって走っている人に“誇りを持つ大切さ”を教えてくれる作品です。



プリティ・リーグ


監督:ペニー・マーシャル
出演:トム・ハンクス、ジーナ・デイビス、マドンナ、ロリー・ペティ 他
配給:コロンビア トライスター映画  1992年 アメリカ映画

“女子ベースボールの殿堂”
第2次世界大戦の頃、あの大リーグきっての名選手だったジョー・ディマジオも戦地へと召集され、
最大の娯楽“プロフェッショナルベースボール”がアメリカ人の前から消えようとしていた。
そんな時、女子だけのプロ野球のリーグが始まった。
この話は、実話を元に創られた。その作品こそ、“プリティ・リーグ”である。

全米から、戦地に行った夫を待つ田舎の主婦、ダンスホールのホステスなど様々な女性が集められ、テストされる。
この頃、“台所から工員へ”と、戦地に行った男手を女性がフォローしていた時代だった。
女性にとっては戦争が終わるまでのつなぎでしかなかった。
しかし、彼女達は“ベースボール”という、その頃の女性にとっては少しはしたないと思われていたスポーツの世界に染まっていくことで、
自分達にとって大切なものを1つずつ手に入れていく。

トム・ハンクス演じる監督。かつて大リーグの大スターだった彼は、ひざを壊しスターの座から降り、酒びたりになって堕落していった。
しかし、彼女達と出会い、彼女達のパワーによって、再び“野球人”の心を取り戻していく。
日本でもプロ野球の選手が“野球人”“野球道”という言葉を口にすることがある。
僕の中で印象的なのは、元巨人の桑田真澄である。
スポーツというものは、ただのスポーツではない。それぞれのスポーツの中に、“精神を導く道”が在ると思う。
野球というものは、9人でやるものではない。
リリーフもいれば、監督もいて、スタッフがいて…。つまり“チーム”がそこに在る。
よく、自分の成績よりもチームの勝利というコメントがあるが、まさに“チーム”スポーツなのである。
“プリティ・リーグ”は、皆で移動しているところやロッカールーム、仲の悪かったチームメイトが1つになっていくさま、
同じスポーツをしていたからこそ思いやりの気持ちを持てるようになった姉妹など、ベースボールのチーム観が全面に出ている。

数年しか行われなかった全米女子プロ野球リーグ。女性達が創り上げた“野球道”を見よ。



ラブ・オブ・ザ・ゲーム

監督:サム・ライミ
出演:ケビン・コスナー、ケリー・プレストン、ジョン・C・ライリー、ジェナ・マローン 他
1999年 アメリカ映画

“引き際の美しさとベースボール”
スポーツ選手には誰でも引退する時がやってくる。
美しく去っていくか、醜くても限界までやり続けるのか?引退を考える時、誰もが悩む選択であろう。
この作品“ラブ・オブ・ザ・ゲーム”の主演ケビン・コスナー扮するビリー・チャペルは
大リーグ“デトロイト・タイガース”に20年在籍した有名ピッチャーである。
しかし、年齢と肩の痛みを感じつつ、トレードに出されそうになっていた。まさに、人生の岐路である。
そして、私生活でも愛する女性ジェーン・オーブリー(ケリー・プレストン)がロンドンに去っていこうとしていた。
ビリーのピッチャーとしての人生と一人の男としての視線をミックスし、ニューヨーク・ヤンキース戦のピッチングで表現している。
まずは、ヤンキーススタジアムやユニフォームなどをそのまま使っていることに注目。大リーグが全面協力している。
さらに、ケビン・コスナー始め役者達の野球をしている姿がしっかりしていることもストーリーに入りやすい理由の1つであろう。
日本のスポーツ映画では、有名タレントにやっつけでやらせているようなものも多々あるが、
海外ではその辺をしっかりトレーニングしてやっている。
以前“GOAL!”の主演クノ・ベッカーと話す機会があり、サッカーのトレーニングをどうしたのかと聞くと、
3ヶ月プレミアリーグ“ニューカッスル”のコーチにみっちりトレーニングさせられたと言っていた。
スポーツ映画は、そういうリアリティが無いとしらけてしまう。
この作品は、そんな気持ちにならずに入っていける。
引退に対して決断出来ないまま、そして、愛に悩みながらマウンドに立つビリー。
走馬灯の様に野球と愛をベンチで考えながらも、マウンドでは集中し最高のピッチングを続ける。
ピッチャーには2人の女房がいると言う人がいるが、この作品でもキャッチャーと恋人の2人の女房が回を追うごとに、
どんどんストーリーとして描かれていく。
ロマンスとベースボールが紡いでいく9イニング。欲張りな人にはオススメの作品である。